• 後藤 竜典

  • カメラマン

  • 2020年創業メンバー

【 2020年 年間MVP / 2022年 社長賞 】

カメラマン

想像の先にある、本当の価値

後藤 竜典

カメラマン

2020年創業メンバー


人は、見えるものにしか手を伸ばせない。
けれど、心を動かすものは、えてしてその“先”にある。


歓びや感動は、想像という輪郭の、わずかに外側にある気がします。
私はそこに触れ、カタチを与えることに、情熱を持ってきました。
それが「写真」であれ、「体験」であれ、本質は変わらないのだと思います。


二十歳でカメラを手にして以来、私は、ただ働いていました。
余裕はなく、立ち止まる間もなく、ただ目の前の仕事に追われる日々。
当時、社員は三名。現場も編集も納品も、なにもかもすべてが自分の両手の中にありました。


その荒波の中で、唯一、頑なに守り続けていたことがあります。
「写真だけは、絶対に誤魔化さない」。
どんなに時間がなくても、疲れていても、そこだけは譲れませんでした。


納品前のすべての写真に目を通し、
他者の作品の中にある“良質な要素”を抽出し、自らの糧にする日々。
その積み重ねは、やがて自分の中に一つの結論をもたらしました。


——技術と知識こそが、フォトグラファーの本質である。
しかし、信仰のようなその答えは、ある日、音もなく崩れていきました。


どれだけ写真が美しくても、
どれだけ完成度が高くても、

お客様の心が動かなければ、それは“記録”に過ぎない。


——なぜ満足いただけなかったのか。
その答えは、あまりにも明白でした。


人が大切にしているのは、写真そのものだけではなく、
そこでの「体験」すべてだったのです。


時間が流れ、私は思い切って、あるコンペティションに作品を提出しました。
運よく、国際的な賞を受け取ることができました。


仲間が自然と集まってきて、
名前が仕事を連れてきて、
世界とつながる扉が少しずつ開いたような気がしました。


ただ、それ以上に私を変えたのは、
自らが「結婚する側」になったときの経験でした。


何度も試着を重ねて選んだ婚約指輪。
初めてドレスを身に纏う彼女の、緊張と高揚の入り混じった眼差し。
一つひとつの打ち合わせに込められた不安と期待。


それらは、写真には写りません。
けれど、そこに宿る感情は、確かに“存在していた”のです。


この気づきが、私の視座を変えました。
技術だけでも、感性だけでも届かないもの。
それは、人の人生に寄り添う「想像力」です。


いま、私は思います。
本当の価値は、想像のほんの少し先にある——
まだ言葉にならない感情や、本人さえ気づいていない期待のようなもの。
私は、それに気づくために想像し、
それに応えるために技術を磨いてきたのだと思います。


写真という手段を通して、
その“わずか先”を、そっと差し出せるように。


驚きと歓びが重なったとき、人の心は確かに動く。
私は、そんな瞬間を仲間と一緒に届けたいのです。

平田 泰平

「自分の経験が誰かの安心に繋がる」

プランナー
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